インダストリー4.0の設計原則
製造現場でインダストリー4.0を実現するためには、四つの設計原則があります。
工場がどのようなものかを理解する上で重要なポイントとなります。
一つ目は相互運用性です。
これがモノ、ヒト問わず、生産活動に関わる全てをつないでいくことを意味します。工場の中の機械同士だけでなく、ヒトのサポートとして機械を使ったり、地理的制約を超えた拠点間の情報共有したりと、情報を密接にやり取りすることが目的です。
二つ目は情報透明性です。
センサーやデバイスで収集したデータが活用されなくてはせっかくの資産価値がなくなってしまいます。誰もが見られる状態にしておき、従業員一人一人がデータの使い方を考えられる体制を作っておくことが発展への近道となります。
三つ目は技術的進歩です。
人の負担を軽減することが進んでいけば、生産活動の効率化が図れるだけでなく、働く人の安全を確保することもできます。重労働、危険労働となっている部分を機械に任せられると、その業務を担当できる人が増えるのもメリットの一つです。
四つ目は分散型決定です。
業務ごとに状況に応じた判断や意思決定を分散させることで、あらゆる局面での最適な判断をすることができます。今起きている状況をリアルタイムで反映しながら、自動的に意思決定していくことが可能となります。
スマート工場とは
インダストリー4.0について知ったところで、改めてスマート工場とは何か考えていきましょう。 スマート工場とは、一般的にデジタルデータ活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に実現する工場と定義されています。 スマート工場の実現のためには見える化→制御→自動化という3つのステップを踏む必要があります。
見える化
データを収集して現在の工場の状態を見える化し、それを分析してノウハウとして蓄積していきます。データの収集には、次のような方法があります。
- ・生産管理システムの活用
- ・工場内や生産設備に取り付けたセンサー等によるモニタリング
- ・IoT機器によるリアルタイムのデータ収集
制御
見える化によって得たデータの分析結果に基づいて、より効率的な生産体制を構築したり、機械を制御します。
- ・不良発生要因の分析結果を基に、不良要因の除去
- ・設備の故障予測に基づいた予防保全
- ・シミュレーションによる生産ラインの最適化
自動化
最後のステップとして、自動化を行います。人の手を介さずに生産できるようになることにより、工場の生産性は大きく向上します。自動化の例としては、次のような内容です。
- ・AIによる最適な生産計画の立案と人員配備
- ・装置・ロボットによる自動生産ラインの構築
スマート工場によって実現できること
人手不足と高齢化社会への対応
経済産業省の調査結果では企業の多くは人材確保については課題だと感じています。また、製造業への就業者数が減少している傾向があることも指摘されています。 スマート工場を実現すると、ロボットやAIを活用することによって教育期間の短縮や負担が軽減されることで長期間働くことができるため人手不足の解消に貢献すると期待されています。
技術の継承
技能継承に課題を感じている企業も増えています。 これに対する試みとして、オムロンとNTTドコモ、ノキアグループは、工場における5Gを活用した実証実験を共同で実施すると発表しました。同実証実験では5Gの特長を製造現場でどう生かすかを評価するとともに、課題を洗い出して対応策を検討することを狙いとしています。 実証試験では「リアルタイムコーチング」と呼ぶシステムでの利用をユースケースとして掲げています。 設備データや、作業者の作業動線を撮影した映像データなどを収集してAIで解析し、熟練者との違いを作業者へリアルタイムにフィードバックし、生産性の向上と早期の作業習熟を目指しています。
生産性の向上
現在の製造業では、多品種少量生産への対応や生産コストの削減、品質レベルの向上などの要求が厳しい環境にあり、今後もさらに工場の生産性を向上させていく必要があります。
スマート工場を実現することによって、工場内の生産設備や人の稼働状況が最適化され、無駄のない効率的な生産を行うことができます。AIによる最適な人員配置や、装置・ロボットで自動化することによる教育費用・人件費などのコストの削減も実現できます。 また、IoTやセンサーによって生産状況が把握でき工程管理や予防保全などが行えるようになり、品質向上にも繋がります。
三松での取り組み
生産管理システム
三松では製品の図面、工程進捗、原価計算などを独自の生産管理システム(SINS)で行っています。各作業者が端末を使い製品ごとの作業時間を入力することで 製品ごとの細かな進捗管理、SEサービスなどの超短納期サービス、正確な見積を実現しています。
位置管理システム
三松ではIoT推進の一環として製品の位置管理を行っています。 台車に取り付けられたビーコンと製品を紐づけることでどの製品が工場内のどこにあるか検索することが出来ます。 また、製品番号に工場内の定点カメラの情報を紐づけられているため、不良が発生した状況を映像で確認できるため作業改善や原因究明に役立てています。
カイゼンカメラシステム
製品番号に工場内の定点カメラの情報を紐づけられているため、不良が発生した状況を映像で確認できるため作業改善や原因究明に役立てています。 生産管理システムからアクセスすることが出来ます。
SINS Mobile端末
社員全員に端末が支給され各自が生産状況の入力、確認が行えるようになっています。カイゼンカメラシステムへの作業動画の追加もできるようになっています。 また端末は内線電話としても使用されています。
情報管理盤
工場内に設置されたデジタルサイネージに生産性、不良状況、来客状況、昼食メニュー等の情報を常時表示しています。
SMASH
“SMASH”とシーケンサ実機、またはシーケンサシミュレータを接続し、”SMASH”上に構築した設備・装置の3Dモデルを制御プログラムで動かしながらデバック作業を実現します。
まとめ
スマート工場を実現は難しく、段階を経て順々に進めていく必要があります。三松ではスマート工場を実現のお手伝いをさせていただいています。ぜひご相談ください。