資格不要の産業ロボット
ただし特別教育を受講していなくても教示可能なロボットもあります。
協働ロボットと呼ばれる、人とロボットが同一空間内で作業することを認められたロボットでロボットの定格出力が80W未満のものです。
「労働安全衛生規則第150の4」ではロボットの周囲に安全柵の設置を義務付ける内容となっていますが、ここでの産業用ロボットの定義が定格出力80W以上のものとなっています。
そのため特別教育も、定格出力80W以上での受講の義務を定義しています。
2種類の特別教育
産業用ロボットの業務として、労働安全衛生規則 第36条の第31項で「教示等の業務」、第32項で「検査等の業務」が定義されています。
産業用ロボットの特別教育で実施すべき内容については、「安全衛生特別教育規程」の第18条(教示)と第19条(検査)で科目と時間が定められています。
教示は、ロボットに対し、プログラムの作成及びロボット位置の指示を行う業務です。ロボット装置の立ち上げを行うのに必ず必要な作業で、学科と実技両方の時間が設けられています。またロボットの関係法令の時間も定めれられており、ロボットの危険性についても学びます。
科目 | 時間 | |
---|---|---|
学科 | 産業用ロボットに関する知識 | 2時間以上 |
産業用ロボットの教示等の作業に関する知識 | 4時間以上 | |
関係法令 | 1時間以上 | |
実技 | 産業用ロボットの操作の方法 | 1時間以上 |
産業用ロボットの教示等の作業の方法 | 2時間以上 |
検査は、ロボットの点検・修理・調整など、ロボットのメンテナンスを行う業務です。メンテナンス業務を行うためには、安全に対する知識やロボットの使い方だけでなく、ロボット内部の構造や部品に関する知識なども詳しく知る必要があるため、以下のように、必要な時間は教示よりも長く設定されています。
科目 | 時間 | |
---|---|---|
学科 | 産業用ロボットに関する知識 | 4時間以上 |
産業用ロボットの検査等の作業に関する知識 | 4時間以上 | |
関係法令 | 1時間以上 | |
実技 | 産業用ロボットの操作の方法 | 1時間以上 |
産業用ロボットの検査等の作業の方法 | 3時間以上 |
上記のように特別教育の内容は法律で定められており、どこで受講しても内容に大きな違いはありません。
各ロボットメーカー等でも定期的に開催していますが、三松でも受講可能です。ただし教示作業のみでのカリキュラムとなります。三菱電機製ロボットコース及び川崎重工製ロボットコースの2種類を準備しており、受講者には特別教育修了証を発行しています。
弊社所有ロボット 三菱電機製:RV‐2SQ川崎重工製:RS20N を使用して講習を行います。またPLCプログラム及びロボットプログラムを机上でシミュレーションできるソフトウェア「SMASH」を使用し、特別講習内で全員がロボットの操作やプログラム作成の体験が可能です。
ロボットメーカーは国内外様々ありますが、特別教育にメーカーの指定はないため、一度特別教育を受講するとどこのメーカー製の産業用ロボットでも教示作業が可能です。
一度受講すれば有効期限はありませんが、厚生労働省では5年に一度の再受講することを推奨しています。