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産業用ロボットに必要な「特別教育」

ここでは産業用ロボットに必要な「特別教育」や資格不要の産業ロボットなどについて詳しく解説していきます。

目次

  1. 産業用ロボットに必要な「特別教育」
  2. 資格不要の産業ロボット
  3. 2種類の特別教育

産業用ロボットに必要な「特別教育」

産業用ロボットは近年 生産現場で激化している人手不足により、よりいっそう様々な業界での導入が進んでいます。
工場の製造現場に導入されるような産業用ロボットは、所定の動作を行うため設備立ち上げ時、ロボットにプログラムを教え込むティーチング(教示)作業が必要です。
しかしティーチング作業は一般的に安全柵の中でロボットに電源が入った状態で作業を行うため、ロボットが予期せぬトラブルで予測不能な動作をした際、最悪の場合 死亡事故に発展をすることがあり大変危険です。ロボットによる事故として多いのが「はさまれ・巻き込まれ」事故です。狭い安全柵内の空間でロボットが動作し挟まれる死亡事故が多発しています。
事故の例として、ロボットに異常が発生し停止後、点検実施中にロボットが動き出し、胸部を挟まれる事故等があります。
ロボットの停止中は作業者のロボットに対する注意力が低下する傾向があり、急なロボットの動き出しに対応出来ず事故になることが多いためです。また教示作業者と安全柵外にいる現場作業者が異なる場合、安全柵内に人がいるにも関わらず、柵外からロボットに始動命令の入力が可能な状態になると、高確率で事故になるため特に注意が必要です。

上記のような例は一例ですが、産業用ロボットの動作を完全に制御することは難しく、万が一のために安全対策が欠かせません。
産業用ロボットを安全に使うため、またロボット基本的な操作方法を学ぶため、特別教育の受講が義務付けられています。

資格不要の産業ロボット

ただし特別教育を受講していなくても教示可能なロボットもあります。
協働ロボットと呼ばれる、人とロボットが同一空間内で作業することを認められたロボットでロボットの定格出力が80W未満のものです。
「労働安全衛生規則第150の4」ではロボットの周囲に安全柵の設置を義務付ける内容となっていますが、ここでの産業用ロボットの定義が定格出力80W以上のものとなっています。

そのため特別教育も、定格出力80W以上での受講の義務を定義しています。

2種類の特別教育

産業用ロボットの業務として、労働安全衛生規則 第36条の第31項で「教示等の業務」、第32項で「検査等の業務」が定義されています。
産業用ロボットの特別教育で実施すべき内容については、「安全衛生特別教育規程」の第18条(教示)と第19条(検査)で科目と時間が定められています。

教示は、ロボットに対し、プログラムの作成及びロボット位置の指示を行う業務です。ロボット装置の立ち上げを行うのに必ず必要な作業で、学科と実技両方の時間が設けられています。またロボットの関係法令の時間も定めれられており、ロボットの危険性についても学びます。

科目 時間
学科 産業用ロボットに関する知識 2時間以上
産業用ロボットの教示等の作業に関する知識 4時間以上
関係法令 1時間以上
実技 産業用ロボットの操作の方法 1時間以上
産業用ロボットの教示等の作業の方法 2時間以上

検査は、ロボットの点検・修理・調整など、ロボットのメンテナンスを行う業務です。メンテナンス業務を行うためには、安全に対する知識やロボットの使い方だけでなく、ロボット内部の構造や部品に関する知識なども詳しく知る必要があるため、以下のように、必要な時間は教示よりも長く設定されています。

科目 時間
学科 産業用ロボットに関する知識 4時間以上
産業用ロボットの検査等の作業に関する知識 4時間以上
関係法令 1時間以上
実技 産業用ロボットの操作の方法 1時間以上
産業用ロボットの検査等の作業の方法 3時間以上

上記のように特別教育の内容は法律で定められており、どこで受講しても内容に大きな違いはありません。
各ロボットメーカー等でも定期的に開催していますが、三松でも受講可能です。ただし教示作業のみでのカリキュラムとなります。三菱電機製ロボットコース及び川崎重工製ロボットコースの2種類を準備しており、受講者には特別教育修了証を発行しています。
弊社所有ロボット 三菱電機製:RV‐2SQ川崎重工製:RS20N を使用して講習を行います。またPLCプログラム及びロボットプログラムを机上でシミュレーションできるソフトウェア「SMASH」を使用し、特別講習内で全員がロボットの操作やプログラム作成の体験が可能です。
ロボットメーカーは国内外様々ありますが、特別教育にメーカーの指定はないため、一度特別教育を受講するとどこのメーカー製の産業用ロボットでも教示作業が可能です。
一度受講すれば有効期限はありませんが、厚生労働省では5年に一度の再受講することを推奨しています。

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