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産業用ロボットに関する資格

近年、工場の自動化/省人化の実現のために、産業用ロボットを活用する機会が増えています。産業用ロボットは自動化/省人化を達成する為に有用なツールであると同時に、使用方法を誤ると重大な事故につながるリスクを含むツールでもあります。過去には、半完成品を搬送中、作業員が産業用ロボットに挟まり命を失ってしまった痛ましい事例もあります。導入台数が増えるにつれて、このような重大事故の件数増加も懸念されています。そのため、産業用ロボットを正しく使用するために、正確な知識と必要な技術を身に着ける必要があります。これら知識や技術の習得に関して、法律により資格を取得することが定められています。ここでは、産業用ロボットに関する資格について説明していきます。

産業用ロボットは生産性の向上に大きく期待できますが、重大事故のリスクも多く含んでいることは前述のとおりです。こういった事故を防ぐために、産業用ロボットを使う場合には、作業員、メンテナンス者など、すべての方が「特別教育」の受講対象者となります。安全かつ適切に産業用ロボットを使いこなすため、特別教育を受講することにより知識を正しく学び、資格を取得し、高い安全意識を持つことが求められています。一方、すべての産業用ロボットに対して資格が必要なわけではありません。出力が80W未満の産業用ロボットは『協働ロボット』と呼ばれ、特別教育が免除されています。協働ロボットは人と協力して作業することを目的に作られているため、仮にぶつかったとしても事故発生を抑えるように緩衝材が組み込まれていたり、衝突時に自動で停止したり、安全面に配慮された作りとなっています。これまでは人が産業用ロボットの可動範囲に入らないように柵などにより作業エリアを分離して、接触による事故を回避する必要がありました。しかし平成25年12月に厚生労働省により、産業用ロボットとの接触による危険がないと判断されたときには、人とロボットが同じ作業エリアに存在することが認められました。(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)

特別教育で学ばなければならない項目は、「教示」と「検査」の2つに分けられています。実際に作業する内容によって受講する内容も変わってくるため、自分の担当する作業に対応した特別教育を受講しなければいけません。受講計画を策定する際は、適切な教育を受けられるように計画立案することが必要です。

目次

  1. 特別教育 教示について
  2. 特別教育 検査について

特別教育 教示について

教示とは、労働安全衛生法によると「産業用ロボットの可動範囲内においてマニピュレータの動作の順序等を設定し、または変更すること」とあります。つまり産業用ロボットに対し動く順序や位置、速度の設定を行い、動作の確認を行う「ティーチング作業」のことを言います。この作業は、産業用ロボット付近で行う場合が多いため、ロボットと作業員との接触事故が起こりやすい作業となります。教示作業を安全に行うために、作業員は教示に関する特別教育を必ず受講し、資格を取得しなければいけません。

特別教育 検査について

検査とは、労働安全衛生法によると「必要な機器を操作することによる検査、修理若しくは調整又はこれらの結果の確認」とあります。検査を行う際には、産業用ロボットが停止していることを確認し、、安全な状態であることを確認して行うことが原則です。しかし状況によっては稼働状態のまま検査することもあるため、検査などを行う作業員も特別教育を受けなければなりません。

特別教育を受講できる場所は全国各地に準備されています。各都道府県の労働基準協会連合会やJISHA(中央労働災害防止協会)で、定期的に特別教育が開催されています。開催元によって教育内容が大きく変わることはありません。ただし、受講科目と所要時間が法律で定められているため、条件を満たしているかどうか確認が必要です。また、産業用ロボットのメーカーでも特別教育が実施されています。導入するメーカーが決まっている場合、メーカーが主催する特別教育を受けることができれば、作業内容をより深く理解することができるでしょう。ただし、受講者が定員に満たない場合には、開催されない場合もあります。いくつかの講座を同時に検討し、開催日や募集人員を確認しておくことも重要です。弊社、株式会社三松でも、三菱ロボット、川崎ロボットについて特別教育の受講が可能となっております。 特別教育は、産業用ロボットを扱うすべての方が受講しなければいけませんので、作業員全員の受講費とスケジュールを調整する必要があります。

産業用ロボット導入を検討する際は、産業用ロボット本体のコストだけでなく、教育のための費用も念頭に入れて進めることが大切です。産業用ロボットは消して安い買い物ではありません。導入に見合う成果を出すことが出来なければ事業として成立できなくなってしまいます。こうしたリスクも理解した上で、導入の準備を進めてください。

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