マシンビジョンの構成
画像処理システムを構成する要素は大きく4つあります。
それぞれ具体的には、「カメラ」、「フレームグラバー」、「照明」、「ソフトウェア」となり、それらを組み合わせて構築します。
また、ビジョンセンサや、スマートカメラといったカメラ内部に処理エンジンと制御部を備えた一体型デバイスも開発されており単体で画像処理システムを構築することも可能となっています。
カメラ:白黒/カラー、解像度、フレームレート等、用途・目的に適したカメラが選択されます。
フレームグラバー:フレームグラバー(frame grabber)はアナログカメラの信号をデジタル形式に変換するために必要です。画像入力ボードとも言います。
照明:蛍光灯、ファイバー駆動ハロゲン、キセノンストロボ光源がマシンビジョンシステムでよく採用されていますが、近年はLED照明に代替されつつあります。
ソフトウェア:撮影した画像の自動処理を行い、合否を判断します。画像処理方法は用途・目的に特化されているケースが多いです。
マシンビジョンの構成要素に求められる要件は、タスクによって異なります。
例えば「色の判別」というタスクを行う場合、カラー画像を撮影できるカメラ、製品・部品を無駄なく照らす適切な照明、読み込んだ画像から適した色かどうかをプログラムされたルールに基づいて分析・判定するソフトウェアが必要です。
マシンビジョンでできること
像処理で何ができるのかを説明する際、「GIGI」というキーワードをよく用います。
これは「Guidance(ガイダンス)」「Inspection(インスペクション)」「Gauge(ゲージ)」「Indentify(アイデンティファイ)」の頭文字を並べたものです。
最初の「G」は“Guidance”の頭文字で、何かを「ガイドする」という意味を持ちます。例えば、画像処理がロボットの目として機能し、ロボットハンドの動作をガイドするということです。
ロボットがつかもうとする部品の位置を画像処理で計測し、その情報をロボットに送ります。
ロボットはその位置情報を基に、ロボットハンドを動かして、対象物の部品を把持します。
次の「I」は“Inspection”の頭文字で、日本語でいう「検査」です。生産ラインで検査を行って不良品を排除することは、顧客満足度や企業価値の向上につながる極めて重要な活動です。
また、不良品を早期に発見し、製造工程の問題を修正することは、生産効率の向上にも寄与します。
もう1つの「G」は“Gauge”、すなわち「寸法」の計測です。
製造工程を管理する上で、生産品の寸法をチェックすることは不良品を出さないことに役立つのはもちろんのこと、製造工程の状況を把握する上でも重要です。
最後の「I」は“Indentify”、日本語の「認識」ですが、ひらたく言うとバーコード/2次元コード/文字の読み取りのことを指します。
これらを読み取ることによって、どの製品が、いつ・どこの機械で加工されたかが把握でき、生産ラインを管理することが可能です。これはつまり、不良品が発生した際、問題のある機械や工程を素早く見つけるのに役立ちます。
さらに、製品が工場を出た後の流れ(流通経路)を知るためにも使われ、部品調達のグローバル化が進む中で重要になってきています。また、ニセモノの混入防止としての利用にも注目されています。
導入の流れ
マシンビジョンを導入する場合、機器を購入して取り付ければOKというわけではなく、装置として製作する前に概念実証(PoC)を行うことで、「マシンビジョンの構成」の項で触れた様々な機器を決定したうえで、
「マシンビジョンでできること」の項で触れた 内容を様々機能を駆使して実装する必要があります。
弊社では、画像処理専門のエンジニアが在席しており、概念実証から導入までのお手伝いが可能です。
また、弊社は画像処理ライブラリHalconや産業用カメラの取扱いで有名な株式会社LINX、マルチプルイメージャーを代表する特許技術を持つ株式会社デクシスといった画像処理メーカーからインテグレーションパートナーとして認定されており、同社のシステムアップもご提案することが可能です。
まとめ
マシンビジョンは人間が行えるタスクをより高速に高精度で行なったり、人間にはできないタスクを自動で行います。3Dイメージングやロボット技術の発達などによって、マシンビジョンのますますの発展が期待されます。